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医療情報サイトm3.comより(1)

  • 所長のひとりごと

医療情報サイトのm3.comからインタビューを受けた内容について、報告します。

Q.まず、一番先に目が行くのは、その格好なのですが、白衣でなく、作業服で往診に行くのですか?

A.往診、訪問診療では、限られた場所で限られた携行品を使い、比較的短い時間で診断をし、治療方針などを決断する必要があります。

 その一連の動きと似ていることから、ドクターカー、ドクターヘリ、DMATの服装や携行品などを参考にしています。

 普段から私は白衣を着用していません。作業着を着て、患者の自宅を訪れています。作業着を選ぶのは汚れが目立ちづらい、袖や裾が家具などに引っかからない、ポケットにフラップ(ふた)があることからメモ帳やスマートフォンを落とさずに済むという利点があります。

Q.吉野川市の医療環境と地域の医療課題についてお聞かせください。

A.私たちがいる山川町は吉野川市の西部にあり、県庁所在地の徳島市から車で1時間ほどの場所です。吉野川市には4つの病院がありますが、山川町からそれらの病院へのアクセスはあまりよくありません。そして、吉野川市でも高齢化が進み、医療機関に行きたくても車を運転できず、通えないという人も少なからずいます。そういった課題があることから、在宅診療の必要性を強く感じています。

 吉野川市には吉野川医療センターという地域の核になっている病院があります。大変お世話になっています。高度な処置が必要だったり、入院でないと対処できない患者さんの相談をするといつも快く引き受けてくださいます。

 ただ、ここ数年、特にコロナ禍以降、吉野川医療センターのような中核となる病院の負担はますます大きくなっていると感じます。自宅で対応できる患者さんは、地元の医療機関が訪問診療や往診も行なって、カバーしていかなければならないと思っています。

Q.今年3月に『往診屋 地域の患者の人生を診る365日』(幻冬舎)を上梓された経緯をお聞かせください。

A.長く地域医療の場にいますが、もう1つの活動としてカンボジアでの救急医療支援に携わっています。その活動でたくさんの気付きがあり、それらを後進の指導のために動画で残していました。その中でも、公開して差し支えのないものはインターネットにアップロードしていて、それを見た幻冬舎の編集者から在宅診療をテーマにした本の出版を持ち掛けられました。

 私の大学時代の同級生で、徳島大学特任教授の山田博胤先生が『ハイパーソノグラファーK』(メディカ出版)というコミックタッチの医学書を共著で出版しています。その本の中には、超音波の画像から心筋梗塞の兆候を読み取る描写があります。診療中にその漫画のシーンを思い出して患者の心筋梗塞を探り当て、患者も私も命拾いをしたということがありました。その時に、「ひょっとすると1冊の本が人の命を救うことがあるのかもしれない」と思ったのです。私がそんな本を書けるかはわかりませんが、機会をもらえるのなら挑戦した方がいいと考え、出版するに至りました。

Q.今、どんな患者さんの往診が多いのでしょうか?

A.最近の突発的な往診依頼は、急な発熱と骨折の可能性のあるけがが多いですね。

 訪問診療という定期の訪問では、末期がんの診療で訪問することが多く、全体の3~4割くらいを占めています。それ以外にも認知症、心血管疾患、脳血管疾患とその後遺症、神経難病などを診ています。

 1カ月の診療件数は、訪問診療が約300件、往診は30~40件です。

Q.近隣の医療機関、介護福祉施設などとの連携をお聞かせください。

A.基幹病院では、特に吉野川医療センターと紹介、逆紹介を頻繁に行っています。一番大切にしているのが、「面倒くさがらずに連絡する」です。自分の診療所内だけで何とかしようとしても、必ずしも患者のためになるとは限りませんので、紹介、逆紹介等の連絡はまめに行うようにしています。

 当診療所にも看護師はいますが、地域の複数の訪問看護ステーションとも提携しています。患者は医師の私には話さないようなことでも、看護師には話せたりします。そこで得た情報が診療をする上で重要になることもあるんです。そのため、訪問看護ステーションの看護師との密なやりとりは欠かせません。

 また、患者が介護サービスを受けていることも多く、患者の自宅で介護ヘルパーと顔を合わせることがあります。介護ヘルパーが私の知らない情報を知っていて、それに頼ることもあります。こういったことから、多職種との連携の重要性を実感しています。

 当診療所は現在、医師が私1人しかいません。人手不足を解消するために、ITをフル活用しています。スタッフには11台スマートフォンを、訪問を行う看護師には電子カルテを確認できるタブレットを渡しています。どうしても私の手が回らない時等、まずは看護師だけで患者の家を訪問してもらい、電話やビジネスチャットアプリで指示を出すといったような対応をしています。

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